各国で定める建物の耐用年数

豆知識

建物の耐用年数については建築・不動産業界に従事する方々以外はなかなか耳にすることがない言葉ですが、住宅を購入する際には銀行側はこの耐用年数と築年数をローン条件で加味します。そもそも日本の住宅産業は耐震力を強化することには熱心でしたが、耐久力を伸ばす工夫には、そこまで熱心ではありませんでした。これらの背景を前提として日本で当たり前化している「建物耐用年数」。これは日本とアメリカやイギリスなどの欧米諸国とではどのように異なるのでしょうか?

日本・アメリカ・イギリスの建物寿命

耐用年数の考え方を建物寿命と混同している方が多いのですが実際には異なります。建物寿命とは建物が実際に存在した年数を示し、耐用年数とは建物の使用予定年数を示します。

日本・アメリカ・イギリスの建物寿命
  • 日本   【約30年】
  • アメリカ 【約70年】
  • イギリス 【約80年】
  • なぜ日本ではこれほどまでに建物寿命が短いのか?それは、昔から国自体が新築住宅に様々な優遇措置や補助金を出してきた反面、築年数が経過した中古住宅の価値は認めなかったためです。この歴史が現在でも続く、日本は土地値が全てと言われ、築年数が20年超のものは建物価値がないとみなす風土の所以です。しかし、欧米を見習って、日本でもようやく「スクラップアンドビルド(壊して建てる)」から建物を長期維持するという慣習が出始めました。

    日本・アメリカ・イギリスの建物耐用年数と構造

    耐用年数とは減価償却資産が利用に「耐えうる」予定年数を言います。

    日本・アメリカ・イギリスの建物耐用年数(賃貸住宅・木造)
  • 日本   【22年】
  • アメリカ 【27.5年】
  • イギリス 【なし】
  • 木造という括りではないため、余談にはなりますが中国では建物は20年、オーストラリアでは42年と規定されています。

    アメリカやイギリスなどの欧米では建物を壊さないことが一般化されています。これらの国々ではリノベーションを行い、建物価値を維持・上昇させ、長く住み続ける文化です。人々は修繕費用に多額の資金を投下して、長く維持します。各国住宅建物の構造では日本は木造、RC造(鉄筋コンクリート造)、S造(鉄骨造)など多岐に渡る印象ですが、アメリカでは木造が大多数を占め、イギリスでは煉瓦造(レンガ)や石造、S造が多いです。

    まとめ

    海外不動産と聞くと、減価償却費による個人の所得税の「節税」と連想される方が多いのではないでしょうか。しかし、本来の海外不動産の魅力はそこではないと考えています。あくまでも不動産投資が本質であり、物件本来の賃料収入と売却時の値上がり期待が可能であるということが海外不動産投資の魅力であると考えています。

    今回のテーマである建物耐用年数やそれに付随して記載しました建物寿命を日本と比較してみたときに、なぜ日本は短く、海外は長いのか?などの疑問を持って頂き、日本国内以外の不動産にも目を向けるきっかけになれば幸いです。 

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