最近、海外不動産を法人で購入するという事例が増えています。法人となれば、個人と比べ予算も増えますし、海外不動産以外にも様々な選択肢の中から選ぶことが可能です。しかし、購入目的に応じて最大のメリットを享受できるように物件価格や融資などを駆使して海外不動産への投資を行う企業が実は増えています。そこで今回は法人での海外不動産購入が進んでいる現状について着目していきましょう。
法人で購入することのメリット
これまで「海外不動産投資」と聞くと、その購入主体は個人が多かったのは言うまでもありません。多くの業者が「加速度償却による所得税対策」をセールストークとして個人の富裕層(※オーナー企業経営者や医師などの高所得者等)向けに販売されていました。しかし、2019年12月に発表された税制改正大綱を皮切りに、2020年以降は法人で海外不動産を購入される例が増えてきています。ここで改めて、法人での海外不動産購入が注目される3つのポイントについて考えてみましょう。
この3つのポイントとは、「法人税対策」「資金調達の可能性」「新事業による収益性」です。
・4年償却による高い税効果(法人税対策)
税制改正大綱の発表では、個人の所得税に関して今後規制がかかる旨の内容が記載されていましたが、法人税に関しては現行のままです。日本の一般的な不動産に比べて建物割合が高い物件を選ぶことで、多額の減価償却費を計上することが可能です。また 、耐用年数の要件を満たせば4年でこの償却を利用することができるので、中期経営計画に織り込んでいる法人が増えてきています。
・資金調達の可能性
個人で購入の場合にどうしてもネックとなるのが資金調達の問題です。法人の場合は資金調達の幅が広がるというのも影響を与えております。その法人の直近の業績や担保の状況によって、運転資金として融資を受けることができる可能性があります。運転資金であれば、その資金使途は問われませんので自由に利用することができます。金利に関しても昨今の低金利である状況を加味すれば、1%を下回ることも大いにあるのが実情です。
・本業に加え新規事業による収益の確保
今回のコロナウイルスの影響で日本国内への観光客数の減少や自粛ムードによる経済効果は相当なものとなります。このような経済危機により、影響を受けている法人は多く、売上減少に留まらず破産した企業も存在しています。こういった有事の際でも「不動産賃貸業」であれば、額の上下はありますがリスク分散としても本業を支えることに繋がります。 日本国内の不動産と比べても利回りが高いことや、万が一のときには売却を行うことも可能になります。 仮に売却を行ったとしても、法人の場合には所有期間により税率が変わることもありません。
まとめ
再度注目されている法人での海外不動産購入に関してのメリットを中心に見てきました。個人での購入がメインだった頃は、「所得税対策」という言葉が一人歩きしており、本来あるべき不動産投資という側面がかき消されつつありました。しかし、法人による不動産購入であれば、その投資という概念を主軸に購入を前向きに検討できるような他のメリットも存在します。
本投稿を読んだことをきっかけに、法人での海外不動産投資が新たな選択肢となれば幸いです。
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