【連載】海外不動産投資における失敗事例 vol. 1

リスク 全般

日本国内の不動産投資に比べ、同じ不動産でも海外の不動産への投資は怖いと感じる方が多く、実際に取り組まれている方の絶対数が少ない投資対象です。取り組まれている経験者の絶対数が少ないことは、成功にしろ失敗にしろ、入手できる経験に基づく生の情報量が多くありません。結果、わからない=怖いという印象を持たれているのが実情でしょう。実際に投資をした方の失敗談は、貴重な情報です。失敗談を知ることで事前にリスクを回避し、不安を払拭し納得できる投資することの一助になるはずです。

また、大方の海外不動産取り扱い業者は不動産を販売し、目先の売り上げをあげることに必死となり、投資家の方々の損得は二の次としている業者が目立ちます。結果、情報量が少ない上に、販売することを目的とした業者の一方的な解釈の入った限定的な情報に頼った取引が、大きな失敗を引き起こした事例も散見されます。 失敗の数だけ、避けられるリスクの数が増えると考え、複数回に分けて事例を紹介します。

【事例①:プレビルド案件と家賃保証】

プレビルドとは、竣工前の未完成建物を指します。建築ラッシュが続く東南アジアなど新興国を中心にプレビルド案件が供給され、海外の投資家からの投資を期待した案件の販売会が日本においても数多く開催されています。取り組みやすい1,000万円程度の価格帯から検討できることから、取り扱う業者や、案件紹介セミナーなども多く、海外不動産で最も身近な商品となっています。

よく目にする「利回り?%を?年保証付き物件」という商品があります。この利回り保証を謳う商品は、情報量の少ない海外不動産に投資する上で取得後の運営リスクが回避できる点で、日本人からすると非常に魅力的に見えます。こういった商品の多くは「プレビルド」と呼ばれる、所謂竣工前物件です。購入後の運営上の不安を取り除くことで販売促進効果を狙ったこの手の商品の最大のリスクは、デベロッパーが倒産することです。そもそも竣工しない、竣工した建物が当初パンフレットにある商品と異なる、竣工したが建物の質が低いというケースです。

デベロッパーが倒産した場合、既に払い込んだ資金の返金を受けられるケースは稀です。デベロッパーの倒産は考えうる最悪のケースですが、資金繰りが悪化したデベロッパーが建築費を予定通り支払いできず工期が大幅に遅れたり、竣工後の建物の瑕疵について十分な補修対応がなされなかったり、予定していた家賃保証がなされなかったりというケースは頻繁に見られるケースです。日本における新築物件の購入と同じ感覚で、海外の新築物件を捉えることはできません。多少金額が高くても、保証がついていなくても、実績ある財務的に余裕のある大手デベロッパーが計画する案件に限定して検討することが、プレビルド案件を検討する際のリスク回避といえます。

海外不動産投資で失敗しないために

プレビルド案件は東南アジアなど新興国だけでなく、アメリカやイギリスなどの先進国でも販売されています。そして、先進国だからリスクがないというものではなく、デベロッパーのクレジットが重要な点では変わりありません。新興国・先進国ともに、デベロッパーの信用力と日本で販売を行っている会社の不動産調査(デューデリジェンス)にかかる技量によって、プレビルド案件の安心感は大きく左右されます。

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