直近5つのオリンピックの不動産価格推移

全般

新型コロナウィルスの影響により2020東京オリンピックの延期が決定しています。2021年の7月にはオリンピック開催が実行されるのでしょうか。未だ先行きが不透明な状況ではありますが、今回は過去のデータを基に直近5回の夏季オリンピック開催都市(2000年:シドニー〜2016年:リオデジャネイロ)における不動産価格に着目していきます。

オリンピック開催前後のGDP成長率は?

開催都市を1としたとき、以下グラフの通りです。 総じてほとんどの都市の経済は上向きとなっていることがわかります。  

※世界銀行GDPデータをもとに、株式会社アネックス作成資料を引用 

過去の夏季オリンピック開催国で開催後にGDP成長率が低下したのはスペイン、オーストラリア、中国、ギリシャです。いずれの国もITバブル崩壊やリーマンショックなどの影響によるものだと見られています。一方、日本と同じ先進国であるアメリカやイギリスではGDP成長率が上昇しています。 

オリンピック開催前後の不動産価格は?

シドニー(オ―ストラリア)  2000年

2000年代最初のオリンピックとなったシドニーに関しては、1993年9月に開催が決定しました。その後、2000年のオリンピック開催にむけて各種施設等の建設が進んでいきますが、不動産価格の大幅な上昇といったトレンドを見せたのは1998年からでした。その後、オリンピックが2000年に開催され、終了後2003年頃まで上昇していきました。2004年からは景気の調整局面に突入したものの、オリンピックにより不動産価格が上昇したというのは明確でした。 

アテネ(ギリシャ)  2004年

2004年に開催されたアテネオリンピックを見ていきましょう。1997年に開催が決定され、近代オリンピック開催以降2度目の開催ということでも話題になりました。アテネの場合はシドニーのときとは異なる動きを見せています。実際のオリンピック開催の2年前2002年までに不動産価格は上昇し、その後2004年までの推移は横ばいとなっています。その理由として、EU共通通貨ユーロの存在が考えられます。1999年に11カ国でユーロが最初に導入され、ギリシャでは2001年に導入が認められ、翌2002年から利用可能となりました。また、このときのオリンピックでは会場の建設工事の遅延、資金負担が増加したことによる財政逼迫といった問題も生じました。2009年にユーロ導入の諸条件に関して国家ぐるみで改竄を行っていたと判明しましたが、この頃まで不動産価格に関しては右肩上がりでした。 

北京(中国)  2008年

2008年北京オリンピックは2001年に開催が決定しました。中国の場合、オリンピック開催の要因に加えて人口増加・経済の発展により、不動産価格上昇に影響を与えているのが分かります。  開催年から5年間で北京不動産の価格は約3倍になっています。 

ロンドン(イギリス)  2012年

ロンドンオリンピックは2005年に開催が決定されました。開催までの間には2008年のリーマンショック問題もあり、一時的な不動産価格は下がることもありましたが、全体的には堅調に上昇している傾向にあります。2005年からの10年間で(閉幕後も含めて)80%程度価格上昇しており、投資に対してポテンシャルの高い都市といえます。  2016年のBrexit問題も現在では収束に向かっており、不動産価格への影響は一時的であったといえます。

リオデジャネイロ(ブラジル)  2016年

2009年に開催が決定したものの、リオデジャネイロは他都市と比較して傾向が違うようです。新興国として経済成長はしていますが、国家の財政健全度や成熟度が低いことや為替が不安定であることなど諸問題により開催後には住宅価格前年比成長率はマイナスとなっており、不動産価格は下落していることが推測できます。 

東京(日本)  2020年

東京オリンピックは2013年に開催が決定され、延長は決定していますが、着々と準備は進められております。都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)を中心に都心の地価・不動産価格は上昇傾向にあります。

まとめ

直近5回のオリンピック及び東京に関してここまで見てきました。オリンピックを開催することで、不動産価格は上昇している都市は多いですが、リオデジャネイロのように開催後に下落するということもあります。オリンピックという大きな要因はありますが、それだけではなく人口増加や経済成長といった社会問題が基礎となっていることは言うまでもありません。 

現在、猛威を振るうCOVID-19による経済への影響はいつまで続くのか、不動産価格はどう変化するのか、今後の動向に注目です。また、予定している東京オリンピックが無事開催された後も、渋谷再開発プロジェクトやリニアモーターカー開通といった様々な計画があります。都市としてのブランディングを高めることで、COVID-19収束後も不動産価格が上がっていくことを期待します。 

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